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旅の重さ Comments (3)
作中のセリフは、中年の凡夫の私に突き刺さるものがありました。人生そのものの旅の重さ。
「何かが肩の上にどさっとのしかかってるみたいで……重い、…重いの。これは、そう、旅の重さ……旅の重さなんだわ。でも、私はこの重さを嫌ってるんじゃない。これを感じなくなったら、おしまいとさえ思ってるの……。
……だけど…重いわ。……辛いわ…」
その頃の四国の遍路道や自然の美しさ、石垣の漁村などを背景に 少女(高橋洋子)の旅が叙情的に描かれる
作者がこれを完成させたのは 1964年らしく、そのモノローグと物語展開に その時代の文学少女的な青くささ、みたいなものも感じた
(結婚後の執筆だけどね)
遍路道の周辺の人々の温情に甘えながらも、結局は誰かの庇護の下に入らないと生きられない16才
母とその男を嫌悪しながら、でもファザコン気味である彼女は 旅芸人の座長(三国)に好意を持ち、媚びるが冷たくされる
また その無意識の媚びは、別のトラブルを招き 座員の女の怒りをかう
奔放な政子(横山リエ)との交流や 美しい自然の中で 性の解放を夢見たりもするが、そんなものは有りはしない
(女であることの負担ばかり)
語り合えそうだった 漁村の文学少女加代(秋吉久美子)の自死
どうしようもない無力感を 魚の行商人木村(高橋悦史)に救われた形なのに、母には自ら選び取ったような自慢気な手紙を書いたりする
16才の早熟な少女の 精神と肉体のアンビバレンツ
すっかりオバサンになった私は この結末にふと
〈割れ鍋に綴じ蓋〉という諺を思い浮かべてしまいました
吉田拓郎の歌が懐かしかったです