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風櫃(フンクイ)の少年 Comments (2)
工場で働きながらもダラダラした生活にイライラさせられながら、シャオシンへの憧れのまなざしに青春映画らしさを感じる。映画館のシーンもあるけど、シャオシンと一緒に観てたのは『酔拳』だったのかな?
「G線上のアリア」を最後に流し、こだわりがなくなったような雰囲気で終わったけど、友人の兵役をどう思ってたのかなぁ・・・
侯孝賢監督作品はもともと好きじゃなかったけど、この頃の監督はまだ若くて伝えたいものがストレートに伝わってくる感じで好感がもてますなぁ。
台湾の離島、澎湖島。その島の中でも中心地の馬公からずいぶんと離れたところにある風櫃に住む少年たち。彼らは毎日喧嘩や博奕や玉突きなどで時間を持て余している。彼らの自堕落な生活には僻地に暮らす青年たちの希望のない閉塞感が表れている。どうやら高校を中退してぶらぶらしているようだ。主人公のアチン(鈕承澤)の父親は、幼い彼にはヒーローだった。ところが、その父親は野球の死球を受け、頭蓋骨がへこんでしまい廃人同様だ。兄は島で教師をしているが、教え子の不良少年たちから暴行を受ける。真面目に勉強した大人たちから希望を見つけ出すことすら困難だ。
やがて、彼らは故郷にいられなくなり、高雄に出ていくのだが、そこでも真面目に地道な生活を続けることはむつかしい。先に島を出た姉や先輩も地道な生活をしているとは言いがたい。そんな中、先輩の彼女に恋心を抱いたアチンだけは努力をして這い上がろうとするのだったが、そんな恋が成就するはずもない。
そんな彼らの前にもっと大きな試練が待ち受けている。兵役だ。そんな不安を振り払うように「兵役閉店前の在庫一掃セール」と大声を張り上げるのだった。
田舎の不良少年たちの不満は、まだ戒厳令のしかれていた台湾の若者たちの閉塞感を代弁している。そして、台湾という国自体の見えない将来への不安を表しているのだ。切ない青春物語だ。
なお、この映画で主人公のアチンを演じた少年は、後に「モンガに散る」などの名作を監督した鈕承澤だ。