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橋の上の娘 Comments (4)
内容は;
1,橋の上から投身自殺しようとしている女はナイフ投げ師に「的」として雇われる。
2,2人は公演の旅に出る。
3,旅先で女は別の男と駆け落ち。それから2人の生活が狂っていく。
「的」として女を雇ったナイフ投げ師は、何があっても「的」に情を抱いてはいけない。もし抱けば手先が狂ってしまうから。そんな2人は心の内で惹かれ合い、そして表面上は反目しあっていく。このつかず離れずな屈折した愛を描かせるとルコントは本当に凄い。
全編白黒にしたのは、そんな2人の関係がどこかプラトニックであり、それが古典となってしまったというルコントのメッセージか。
2人が本編の中で唯一、小屋で行った「愛の行為」は今まで観たラブシーンの中で一番官能的。
何度でも繰り返し観たい作品です。
しかし、この女性はかなりSEX好きである。ナイフ投げのコンビを組むことによって、展開としては愛が芽生えることを想像するのだが、ガボールが見てる前でも他の男とSEXしてしまう・・・商品には手を出さない、こいつはプロだ!と感じてしまう。それからガボールに愛を感じるものの抱こうとはしないので、ナイフ投げの的になることでエクスタシーを感じる(そう見えた)。
ダニエル・オートゥイユにはこういう渋い役のほうが似合いますね。前回見たのが『メルシィ!人生』だったからな・・・
いくら運が大切だからと言って、ライトを消して運転しては危ないです。
劇場公開時に観たような、観てないような。曖昧な記憶をはっきりさせるべく、レンタルで確認。やはり観ていた。
ところが、主人公が最後に訪れる街、イスタンブールの記憶が全く残っていなかったのは不思議だ。ラストシーンは、あの街を訪れたことのある者ならば間違うことのない、ガラタ橋での再会。自分にとって思い出深いイスタンブールが映画に登場していて、それを憶えていないとは。
ヴァネッサ・パラディの好演が光る。周囲から尊重されることない不安を抱えて生きる者の辛さ、寂しさ。彼女はそれらを、出会う男たちとのセックスを通した関係で乗り越えたと思い込む。この思い込みは本人も自覚したもので、これ以外に他人との信頼関係を取り結ぶ方法を知らないだけなのだ。この無垢さと、男とみればすぐにセックスに誘う少女の魔力とを見事に両立させている。
「的とは寝ない。」ダニエル・オートゥイユのナイフ投げが出会いのときに口にした言葉はこの作品の重要なテーマとなっている。つまり、セックスでしか人間関係を築くことの出来ない少女に対する、セックス抜きで命を賭けた信頼関係を作っていく男の挑戦である。
オートゥイユはしかし、パラディが他の男と寝ることに関しては全く頓着しない。ただ、並外れた幸運を持ち合わせた彼女と行動をともにできればそれでいいのだ。地中海上を行く客船から新婚の男と消えるまではそれでよかった。ところが、彼女と離れた途端に、ナイフは新しい的の脚に刺さり、たどり着いたイスタンブールの街で落ちぶれている。
船上から逃げたパラディも、救助された軍の基地で男女の関係のもろさを知り、ギャンブルでのツキも失ってしまう。
お互いがもう一方の存在を不可欠の存在と認め合う状況になり、一緒にいたいと思う感情の横溢。あまり表情が豊かとは言えないオートゥイユの演じる中年男の佇まいが胸に迫る。公開当時にまだ20代だった私にはピンと来なかったとしても不思議ではない。そして、イスタンブールの橋の上のシーンが記憶に残っていないことも同じ理由によるのだろう。
モノクロの映像美、印象的な台詞音楽 謎めき愁いある男と女、見せ場でもあるナイフ投げの官能的なシーンの数々。ストーリー以上に、作品全体から醸し出すこの世界観を心で感じ、楽しむ作品です。
ヴァネッサ・バラディが匂い立つように美しく輝いていくその様と、ダニエル・オートゥイユの、助けた女が再生し自由に羽ばたいていく様を傍観するしかできなくなっていった男の様相のコントラストが、鑑賞し終わってから時間がたった今でも、心に焼き付いています。
一度は離れた二人。自分を見つけてくれた人はそれだけに終わらなかったことに貴女は気づいたのですね。
「心の止まり木」はすぐ傍に・・・
印象深い作品の一つとなりました。(4.2点)