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愛のメモリー Comments (5)
ブライアン・デ・パルマ監督による1976年のサスペンス作。
実業家マイケルの妻と娘が何者かに誘拐され、警察の追跡中に事故で死亡。
16年後、マイケルは妻そっくりのサンドラと出会う。
たちまち恋に落ちるが、サンドラが誘拐され、あの時の事件が再現される…。
陰謀サスペンスや謎解きとしてもさる事ながら、愛に囚われた男が辿る運命がスリリング。
事件の真相やサンドラの正体など大方予想はつくが、一種独特の作風に魅了される。
名カメラマン、ヴィルモス・ジグモンドによる映像も印象に残る。
物語の運び方、カメラワーク、バーナード・ハーマンの音楽や謎めいた美女…。
言うまでもなくこれは、デ・パルマがヒッチコックに捧げるオマージュ。
スリリングでもありロマンチックな作風は「めまい」を彷彿させる。
当初はヒッチコックの真似事と散々叩かれたデ・パルマだが、ヒッチコックの精神を受け継ぎ、独自の作品として昇華させている。
叩かれる筋合いなど無い、極上のサスペンス!
冒頭と結末にだけサスペンスがあって、中盤はずっとだらだらとさっぱり面白くない場面が延々と続く。結末の展開もなんでお金を本人に持たせたのかさっぱり意味がわからなかった。
妻とそっくりだが、彼女の歩き方は“ブリン・マー・ウォーク”だった。このブリン・マーという言葉が妙に引っかかる。 デ・パルマ・ファンの中にはこの映画が最高傑作だと評する方も多い中、単に、デ・パルマの原点としか言えない自分が悲しい。それほど愛着がないとかで・・・
ストーリーは共同経営者のロバート(リスゴー)が最初から怪しいと感じていたのに、なぜか後半になってからはよくわからなくなっていた。結局は不動産会社を独り占めしようと誘拐事件をも計画していたロバート。妻子とも犯人の逃走車に連れ込まれ、死んだと思わせていた。が、実は娘のエミリーは生きていた!犯人の一味がイタリアへと連れて行き、今回の事件をも計画していた・・・て、なんて気の長い計画なんだ!!
最初の事件では警察が「現金は必要ない」と言ったもんだから、その通りにカバンを投げ捨てる。それがずっと気にかかっていたマイケル(ロバートソン)。またしても誘拐。今度こそは現金を渡すぞ!なんて意気込みも、ロバートの画策によってまたしても現金を入れなかった。カバンを取りに来たのはサンドラ。愛が感じられないと嘆いて、ローマへと帰途につく飛行機内で自殺未遂。計画を全て知ったマイケルはロバートを殺し、拳銃を持って飛行場へ・・・故障で舞い戻ってきた飛行機。そしてサンドラ=娘のエミリーと再会。そこでスローモーション撮影となり、抱き合う2人の周りをカメラがぐるぐる回る。
拳銃を持ったマイケルは自分をだましていたサンドラを撃つのか?!とハラハラさせる展開は、普通の生き別れた親子の対面へと落ち着く。自殺未遂にしても、死んだのではないか?と思わせる手法だし、ストーリーよりギミックの映画って感じだな・・・
#ブライアン・デ・パルマ 監督作。作風的には、#殺しのドレス と、#ファントム・オブ・パラダイス を足して二で割ったような作品。しかし、原題の「obsession」(強迫観念)を「愛のメモリー」としたのは変えすぎではないか!
総合45点 ( ストーリー:35点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
蔭のある映像と音楽が作りだす、主人公の苦悩と心の闇を表すような独特の雰囲気が印象に残る。だけど同じ事件を再現しようとしたり物語は強引なうえに、証拠を集めたり関係者をあらったりする犯罪捜査のことは一切描かれず、犯罪ものとしてはおおいに不満が残る。そもそも大きな投資をする前で金を準備しているときにうまく犯人が家に入り込んだりして事情をよく知っているようだし、これだけ内部犯を思わせる状況が揃っていれば、観ている側としても犯罪の裏側もある程度は想像もつくというものだ。二度目の犯罪は言うに及ばず。結末も、犯罪のことを何一つ解決しないまま終わっていて、これでは今後いったいどうなるのだろうか。結局描いたのは、妻子を失った主人公の長きに渡る喪失感と後悔と贖罪の気持ちだけ。これでは一つの作品として不十分で、見終わったときに満足感がありません。