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春に散る Comments (12)
40年ぶりに米国から帰国した広岡仁一(佐藤浩市)。
元は、世界チャンピオンを狙える位置まで上がったことのあるボクサーで、渡米後5戦し引退、偶然拾ってもらったホテルで事業を継ぎ成功を収めたのだが、これも引退しての帰国だった。
そんな広岡が飲み屋で偶然出会ったのはボクサーの黒木翔吾(横浜流星)。
酔っ払いに絡まれた広岡が一撃で絡んできたふたりを倒すのを見、挑んでいった翔吾だったがクロスカウンターで返り討ちにあってしまう。
あまりのすごさに後日、広岡のもとを訪れ、ボクシングを教えてほしいと懇願する翔吾・・・
といったところからはじまる内容で、ここへ広岡が所属していた一流ジムの会長(前会長の娘)や、同じジムで広岡と三羽烏とうたわれた元ボクサー、業界トップジムに所属する世界チャンプ、さらには広岡の姪が加わって話が深まっていきます。
基本的なストーリーは、令和版『あしたのジョー』といってもよいほどで、それをトレーナーサイドから描いたといった感じ。
なのだけれど、多彩な登場人物を短いエピソードで処理しながら、映画に深みを与えていくあたりは、原作の良さもあるのだろうが、脚本・演出も冴えているということだろう。
(原作は沢木耕太郎、監督は瀬々敬久、脚本は瀬々と星航)
上手いエピソードは、仲違いしていた広岡と兄との関係。
兄の死、ひとり残される姪(兄の娘。橋本環奈扮演)、取り壊される実家・・・
淡々と撮ることで深みが出てきました。
そして、見どころは当然にしてボグシングのファイトシーン。
中盤までのファイトシーンは、出し惜しみというと失礼なのかもしれないが、短く、ファイトシーンを期待している観客を巧みにじらしてきます。
で、世界チャンプ(窪田正孝)との一戦は、ほとんど劇伴もなく、リアルなファイトが繰り広げられます。
いやぁ、これほど長いボクシングシーン、少なくとも日本映画にはなかったんじゃないかしらん。
映画紹介記事などを読むと、このファイトシーン、コレオグラフ(振付)なしのアドリブも多々あったとか。
これにはビックリ。
広岡が所属していたジムの会長役は久々の山口智子。
映画出演は岩井俊二監督『スワロウテイル』以来か。
あれは、20世紀の映画だぞ。
広岡へかつて抱いた恋心など微妙は演技もした上での貫禄、御見それいたしました。
なお、タイトルがいつ出るかも見どころです。
新作を公開初日に観られる、ビバ平日。
しかも割引だし。
全体で見れば、いいと思うし、決してハズレではないと思う。
縦軸の2人の物語もいいんだけど、横軸のドラマが分かりやすく散りばめられてはいるけれど、ちょっと多い。
連ドラ並の多さ。
で、我々が思っているボクサー、格闘家のイメージだったり、ボクシング映画あるある的な物語に、その枠から外す事って、出来ないのかなと言う疑問だったりで。
移ろいゆく季節を何とかやりくりしてはいるけらど、色々ちょっとってのもあるけど、役者さんのスケジュール的にそうするしかないんだろうな。
横浜流星は好きな役者だけど、瞬間に生きる役が多い気が。
まあ、それが似合うちゃ、似合うんだけど。
ボクシング映画というのは題材が限られているので、内容も他のボクシング映画と同様にある画一的になってしまい、展開がある程度読めてしまうのは仕方が無い。
本作も正直言ってストーリー的には他のボクシング映画とそんなに大差は無いが、やはり横浜流星と窪田正孝との本気のファイトシーンが良かった。
ただボクシング映画のスローモーションは個人的に好きではないのと、佳菜子の立場がストーリー的に微妙なので星-0.5である。
試合後お互いに称え合うのが清々しい。
そういえば片岡鶴太郎も昔ガチでボクシングやっていましたよね。昔の写真はその時の写真でしょうか。
シナリオもしっかりしているし、カメラワーク、演出、どれを上げても近年稀に見る良作。
特にキャスティングが抜群で観ていて安心感がある。
大塚戦で一瞬大塚の見た目が入るカットも流石。
ラストのスローモーションの長さもかなり良い。
タイトルが出たあとのエピローグもこの作品のテーマを語っていて面白い。
こういう作品が多く作られると日本映画が盛り上がるんだと思う。