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山猫 Comments (14)
で、作品の方ですが、前半は少し間延びしていた感じもあったのですが、後半の晩餐会のシーン! もうこれだけで十分でした! たぶんこのシーンを撮りたかっただけなのではという気さえするぐらいに充実していたと思います。そしてこのシーンを支えているのが、やっぱりバート・ランカスターの憂いでしたね! それが常に底流に流れているからこそ、煌びやかなダンスもそれだけには終わらないもの悲しさを演出していました。
ラストシーンもまた、印象深いものでした。
衣装もセットも多分全部本物。舞踏会シーンは圧巻の美しさ。イケオジ伯爵と若い成金娘の華麗なワルツはため息もので、ワルツってこうやって踊るものなんだな、と教えてもらった気がした。
時代の転換期と自分の人生の節目が重なって男性更年期をこじらせてしまいそうな伯爵の涙や背中がとても寂しくて、余計に伯爵がステキに見えた気がしたw。
素晴らしい映画がこういう形で復元され残っていく事は、とても嬉しいです。
貴族文化を肌身で知るヴィスコンティゆえ、全編の「本物感」は圧倒的だ。一方、本作をきちんと理解しようと思えば、近代イタリア史を頭に入れて臨まねばなるまい。これは時代の荒波に揉まれ、古い体制や価値観が刷新される激動期の物語。取り残される側の貴族、それも一家の長としてのランカスターが辿る心の移ろいを、全体の3分の1の長さを誇る舞踏会シーンに投影させたヴィスコンティの芸術性は素晴らしい。昔は良さが分からなかった筆者も、20年を経て、すっかり心に沁みてしょうがなかった。
これは19世紀後半、イタリアに民主化運動が起こり、ある名門貴族の長である初老の男(バート・ランカスター)とその家紋が没落するまでの過程を描いた物語。動乱の時代にそれでも何も変わらないかのように貴族の生活を営む男は、目をかけていた甥(アラン・ドロン)が革命軍に参加することを知る。さらに甥は身分の違う女に恋をし、結婚することを決意する。何も変わらないと思っていた主人公は、このようにして時代が確かに変わっていることを少しずつ自覚していく。民主化とは結局、変化に情熱を燃やせる世代が草の根となって足もとから動かしていくものなのだ。自分が年を取ったとき、かならず本作のような状況に出くわすだろう。
この完全復元版で追加され、1時間に及んだラストの晩餐会が見もの。当時の晩餐会を復元しようというヴィスコンティのあくなく執念と申しますか、腐敗した貴族たちの宴の様を圧倒的な色彩美とスケールで描いています。画面からなにか精神の結晶の末にながれる摩訶不思議な力が、このラストには流れています。固唾を飲んでしまいました。