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風が吹くとき Comments (2)
英国の老夫婦の日常で戦争を描いた、戦場を舞台にしていない戦争映画。
政府発行のパンフ通りに核シェルターを作り、非常用の水や食糧を備えるところから物語がはじまる。ラジオから あと3分で我が国向かってミサイルが...と放送される。
原爆が落ちるが爆心地から離れたいたので生き残るが被爆してしまう。
放射能が体を蝕むそ様子があらわれ目の周りに影が入り、「おまえ口紅をつけたのか?」(=出血してる)くらいから、弱った表情に崩れた輪郭で、足や腕に斑点がでたり、奥さんの髪の毛が抜けるところまでも場面として描かれる。
優しい絵で描かれているのがいっそう怖い。
時代は1980年代なので、米ソ核戦争を想定したものであり、チェルノブイリ以前だということを頭に入れておく。ほとんどが夫婦の会話のみ。それも多少ボケてはいるが、ほぼ知識の少ない一般人レベルなので、感情移入しやすい。第2次世界大戦を経験して、「あのときの戦争はよかったわ」などとたわけた発言もある(笑)。だから、どうしても過去の戦争しか比較の対象になっていない会話。夫の方は広島原爆についても知識があり、うんちくを並べ立てるが、科学の進歩により核兵器は格段の差があるだろうと予想はできた。しかし、政府発行のパンフレットに頼り切り、窓に白ペンキを塗ったり、ドアを60度に立てかけ、それが核シェルターになるのだと真剣に取り組んでみるのだ。
あっという間に核戦争。一つの原爆が落ち、夫婦の住む家はボロボロに・・・それでも二人はなんとか生きていたが、用意した水を入れた瓶はこなごな。食料だってまともに食えたのは缶詰のみ。やがて、原爆症の症状が彼らを蝕んでいくのだった・・・髪が抜け落ち(チャーリー・ブラウン似の夫はもともと毛がない)、赤い斑点が現れ、二人とも衰弱の一途を辿る。最後にはなぜか紙袋を被る二人・・・
核に対する無知。無知の美学。世界の終焉とあらば、そのほうが幸せなのかもしれない。アニメで描かれているのはそんな内容だけど、反核ではあるが反戦ではない。しかし、ハリウッドの映画人にはなかなか作れない内容なのは確か。同じ核保有国でありながら、感覚が違うんだろうな。