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震える舌 Comments (18)
ホラーというジャンルにも分類されているが、決してホラー作品ではない。しかしながら、痛みに対する表現が子供に対して描写される為、他ホラー映画で描かれる大人のそれとは違い、余計に辛く目を背けたくなる描写が多数ある。
辛さで涙腺が刺激される作品も稀である。
生死を彷徨う娘とその夫婦をリアルに描くこの作品は、世間に溢れている「余命何日の〜」シリーズなどの生温い作品とは訳が違う。
痛みの表現も含め、夫婦の心理・覚悟などが胸の芯に刺さるかのように伝わってくる。
見る側も覚悟をもって見るべき作品である。
実は破傷風にかかった娘の闘病記。
土中に潜む細菌によって引き起こされる症状はオーバーに描けば充分なホラーに。
夫婦の混乱は本当に酷い。
この映画を見たら、「お外で遊んだら手を洗いましょう」と言う親は物凄く増えると思う(笑)
ラストに「恐かった」と話す娘に涙しそうになります。
因みに予告編では煽りにあおった内容があり、悪魔が宿ったとかホラー仕立てになってます。
冒頭、アート系映画なのかと思わせるほど赤みがかった少女のイメージ映像。小川の中の泥水で戯れ、指先に小さな怪我をする。少女の両親(渡瀬恒彦、十朱幸代)は口を開かなくなった娘・昌子(若命真裕子)を心配するものの、かかりつけ医に見せたときには単なる風邪と言われただけだった。しかし、突如舌をを噛んで血だらけになった昌子に驚き救急車を呼ぶ・・・
痙攣を起こす度に舌を噛んでしまい、背筋をエビゾリにして硬直する様子はまるで『エクソシスト』を観ている雰囲気にさせられる。痛々しい悲鳴に慌てふためく両親の姿と、少女の演技に身震いさせられるほど。看病するうちに憔悴しきってやつれた顔になっていく変貌ぶりにも驚かされた。破傷風って怖い病気なんだとあらためて思い知らされた。
個人的には親子の演技よりも、女医・中野良子に見入ってしまいました。しかも、建て替えられる前の聖路加国際病院の全面協力。一流の病院なので医療器具や治療方針など、そして医者も失敗することなどないはずだと、安心して観ていられました。家族たちが悪魔に憑依されたかのような雰囲気だったのに対し、彼女が天使や聖母のような優しさの空気を醸し出していたようです。
【2006年2月映画館(リバイバル)にて】