楢山節考

7.4/10
Total 17 reviews
Runtime   131分
Language   日本語
Area   日本
Written   今村昌平
In Theaters   Apr,29 1983
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楢山節考 Plot

信州の山深い寒村を舞台に、死を目前にした人間の生き方を描く。深沢七郎の同名小説と「東北の神武たち」の映画化で、脚本・監督は「ええじゃないか」の今村昌平、撮影は栃沢正夫がそれぞれ担当。

楢山節考 Actors

楢山節考 Photo

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楢山節考 Comments (13)

Utllueftibea
Utllueftibea
楢山節考の原作は1957年の刊行
二度映画化されており、1983年公開の本作は二度目の作品です

最初のものは1958年公開の木下恵介版で大女優田中絹代が主演です
ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品されました
受賞はならなかったものの、あのフランソワ・トリュフォーが激賞しています
キネマ旬報の日本映画のオールタイムベストにリストされているのはこちらの方です

では本作はどうか?
日本映画オールタイムベストにはランクインしていません
ところがカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞しています
つまり国内より海外での評価が高い作品ということです

何故そうなのでしょうか?
木下恵介版と今村昌平版の違いは一体何なのでしょうか?

それは本作がいわば木下恵介版の実写版という趣があるところかと思います

木下恵介版ももちろん実写です
しかし、ラストシーンを除き全てスタジオセットで撮影しているのです
その上、歌舞伎の舞台劇であるような演出、長唄や浄瑠璃のような劇伴の音楽を使用して、この世界が劇であることを最初から最後まで主張している作品です

それに対して本作はほぼオールロケ
リアリズムを追求して、劇ではなく現実の物語であるという方針で製作されているのです
劇伴の音楽は極力排されてここぞという場面のみです
そしてその音楽は現代的な普通の映画としてのものです
それが実写版と感じる意味です

性行為のシーンが木下恵介版は全くなく、本作には多用されています
人間だけでなく蛇、蛙、カマキリなどの生き物達のそれも何度も写されます

それは本作のリアルさの追求という方針に基づくものでしょう
人間も生き物も変わりはない
自然の中で生きており、つがい子を産み、そして死んでいく存在なのです
だから生き物達のそのシーンが数多く登場し、人間の物語と相対的に変わらないのだと繰り返し主張するのです

木下恵介版は、過酷な物語を歌舞伎的な演出によってこの神話的な物語を芸術として昇華する事を目指したのです

そして本作はリアリズム的な表現による、神話を地上の物語として表現した具体的な映画だということだと思います

この差が、日本国内での評価の差と、海外での評価の差の逆転現象をもたらしているのではないでしょうか?

芸術としての感動は圧倒的に木下恵介版の方が上です
幽玄的なクライマックスの感動は身動きできない程のものをもたらしています
それは現代のロケシーンををラストに挿入しなければ席を立てないまでのものです

本作にはそこまでの感動はありません
実写版ならこういう光景になるのかという感覚で観てしまうのです
しかしだからと言って駄目な作品では決してありません
圧倒的な傑作なのは間違いの無いことです

木下恵介版が飛び抜けた名作過ぎると言うことなのかも知れません
是非、木下恵介版もご覧頂きたいと思います

木下恵介版の田中絹代は51歳の時の出演で前歯を実際に抜いてまでの女優魂をぶつけています
一方、本作での坂本スミ子も負けてはいません
坂本スミ子は本作撮影時47歳です
22歳も上の老け役を、前歯を極限まで削ってまでの熱演でした
田中絹代のおりんは神々しくまさに神話的存在でした
一方、おりんの土俗的な強さの表現は坂本スミ子の方が上だったようには思います

それこそが木下恵介版と今村昌平版の違いであると思います
Nkpsiooihk
Nkpsiooihk
映画をとおしてバタイユのエロティシズムがちらついた。

奇妙な異世界を覗いているようで、現実感を感じてしまうのが醍醐味。
笑い飛ばそうにも笑いきれないシリアスさに不安な共感を覚えた。

感想を一言でどうとは言い切れないが、映画として素晴らしいのは確か。
Ixsnmgkhsop
Ixsnmgkhsop
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子供の頃に「カンヌ国際映画祭 パルム・ドール受賞!」を高らかに宣伝していて、年老いた母親を姥捨山に連れていくと言う大まかなストーリーは頭の中に入ってましたが、後に作品を観た時は姥捨山に連れていくと言う本筋以外のエピソードがあまりにもショッキングで"こりゃあ、結構なトラウマだわ"と思って、幾数十年。
未だにいろんな意味で印象的な作品ですが、池袋の「新文芸坐」で今村昌平監督作品の特集上映をされると聞き、劇場では未観賞なので、この機会にと足を運びました。
コロナ影響下の御時世に何処も動員に苦戦しているにも関わらず、場内はソーシャルディスタンスを守りつつも超満員でした。

で、感想はと言うと、改めて凄い作品だなぁと。
ストーリーもそうだけど、出演している役者陣が凄すぎて、今ではここまでの製作は多分出来ないでしょうね。

緒形拳さん、坂本スミ子さん、左とん平さん、あき竹城さん、倍賞美津子さん、清川虹子さんと当時の日本を代表する錚々たる俳優陣がもうどっしりとストーリーに重厚感を与えていて、それでいて何処かシニカルで滑稽。
閉鎖した中に達観した感じを醸し出しています。

また、様々な生物の交尾や捕食などの食物連鎖の描写が上手く表現されていて、生々しくも自然の成り立ちを描かれています。
この辺りの描写が説明だけではクドくなりがちな人間賛歌を巧みに描写していて、素直に自然の厳しさを醸し出している。
蛇の捕食や家の中や周りに蛇がいると言うのは個人的にはちょっと鳥肌モノですがw

山中の寒村を舞台に「齢70を迎えた老人は『楢山参り』に出なければならない」と言う掟に従う、坂本スミ子さん演じるおりんと緒形拳さん演じる息子の辰平の「楢山参り」= 姥捨山がメインストーリーですが、ラストに至るまでの様々なサブストーリーの織り成し方が秀逸なんですよね。

「結婚し、子孫を残せるのは長男だけである」
「他家から食料を盗むのは重罪である」
「齢70を迎えた老人は『楢山参り』に出なければならない」
この3つの村の掟は絶対で厳しい寒村で生き抜く為に守らなければいけないにしても、かなりキツい。

女の子が産まれると売る事も出来るが、男は長男以外は下男とされ、蔑まされる存在。
左とん平さん演じる利助は「くされ」と呼ばれ、その中でも更に蔑まされている。
人並みの待遇は与えられず、悶々とした中で性欲だけは人並み以上で「獣姦」を繰り返し、トラブルの原因となり、後家さんにも"それだけは勘弁してくれ"と断られ、しょんぼりした所をおりんが知り合いでおかねに頼んで筆下ろしをさせてもらう。
もう、赤裸々過ぎて、滑稽を通り越して微笑ましく感じる。
今ではいろんな人権問題で放送は出来ないかと思います様々な作品に出演されている名バイブレーヤー、左とん平さんの真骨頂ではないでしょうか。

また、「他家から食料を盗むのは重罪」と言う掟は物が溢れた現代においてはかなり異質に映ります。
命は食料よりも軽く扱われ、一度目の盗みは制裁を受けるが、家族の者が再度盗みを働くと「泥棒の血統」として一族根絶やしとされ、生き埋めにされる。
食料事情が切迫する中での非情な制裁に見えますが、それ程の状況下と言う事と、その行為を当たり前の様に描いています。

いろんなエピソードが交差していく中、粛々とおりんの楢山参りの日が近付き、その日を決め、楢山参りの当日の描写は凛々と進んでいきます。

誰にも見られてはいけないという掟の下、辰平は背板に母を背負って「楢山参り」へ出発。
会話をする事を禁じ、途中、白骨遺体やそれを啄ばむカラスの多さがどういう場所かを静かに表している。
辰平がおりんを山に置いて帰る途中、舞い降ってくる雪に感動し、その事を告げる描写は切ない。
自身の母親を置き去りにしなければならないと言うのは、悲しくて切なくて、心がキリキリします。
また会話が無い事で余計に胸に響きます。

帰りの途中で隣の銭屋の倅が背板から無理矢理に70歳の父親を谷へ突き落としていたのは無情に思えるがそうする事が掟であり、そうしなければならない。でもその描写がおりんとの別れの対比になっているんですよね。

家に帰ると新しい生命の誕生を瞬時する描写に命は輪廻すると言う事を感じさせる。いろんな意味で人間賛歌です。

この作品の正式な続編ではありませんが、今村昌平監督の長男の天願大介監督の「デンデラ」と言う楢山節考の続編みたいな作品がありますが、こちらはハードな作風に見えて結構なパロディw
でも、主演が浅丘ルリ子さんで、倍賞美津子さん、白川和子さん、草笛光子さんとベテラン女優陣を陣容しているだけに余計にタチが悪いw
個人的には「楢山節考」と違った意味でなかなか語れる作品なので興味があったら、如何でしょうか?
デンデラ~!w

当時のポスターに「人間の大らかな"生と性"を謳う。今村節=笑い・感動・愛・衝撃」と書かれてましたが、ある程度の人生の酸いも甘いもを経験するとこの謳い文句が解るんですよね。
劇中のシニカルな笑いなんて、若い頃には分かんないですよ、アンタw

物凄く重厚な作品でズッシリと重たく、見応えがあります。好き嫌いの好みは分かれる作品ですが、映画好きなら、1度は観とくべき作品の1つかと。

生きると言う事を貪欲に赤裸々に愚直に描いていて、過去にこういう事があったと教科書で見ただけでは分からない歴史の重さを教えてくれます。
…まぁ、予備知識も無く観賞するとちょっとトラウマになりますがw

機会があれば如何でしょうか?な作品です。