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居酒屋兆治 Comments (15)
「駅/STATION」と同じ降旗康男監督と寡黙で不器用な高倉健主演で設定を居酒屋に変えただけといったところ。悪くはないけれど、「駅/STATION」に比較すると内容は落ちる。劇中に登場するそれぞれの人々の生き様と悲哀が、酒を飲みながら語られる程度のどこにでもある普通の話になったかなという感じ。
ただし大原麗子演じる神谷さよの、過去の不幸な別れから逃げられずに絶望的になって身を持ち崩していく姿は印象に残った。酒を浴びて自分を落として早く死にたいと思う彼女は、兆治と結ばれて一緒に居酒屋を始めていれば全く別の人生になっただろうにと思うと憐みを感じる。
大原麗子が自宅の火事を傍観して逃げ出すようなメンタルのケアが必要なタイプなのに、ヒロインとして成立しているのがすごい。健さんが一日4万円でいいと言っていたのは売上なのか、利益なのか、どう見てもいつも満席で4万円以上の売り上げがありそうで、だとすると利益なら、人件費は夫婦の経営でほぼ0だし、めちゃくちゃ商売上手。
ススキノのキャバレーはホステスがトップレスで大変な乱痴気ぶりで、楽しそう。
昔、テレビで見て小松政夫が奥さんと死別して、金属バットを足にからませて寝ていると語る場面は印象深くて記憶に強く残っていた。
無口だが真面目な英治と妻が切り盛りするこの店には、毎夜毎夜常連客で賑わう。
ある日、近くの牧場で火事が。
火事の中、悲観に暮れる牧場主の妻・さよを見て、英治は複雑な思いに駆られる。
かつて英治とさよは恋人であった。
貧しかった英治はさよの為を思い、身を引いた。
さよは金持ちだが愛してもない男と結婚、ずっと英治の事を忘れられずにいる。
さよには放火の疑いが…。
監督・降旗康男×撮影・木村大作×主演・高倉健の名トリオによる情感たっぷりの人間ドラマ。
寡黙で不器用で、横暴な先輩にただただ頭を下げ、理不尽に殴られても堪え忍ぶ英治は高倉健のイメージそのもの。
何かと気にかけてくれる旧友・田中邦衛、先輩・伊丹十三、小松政夫や池部良ら店に集う豪華な常連客の人間模様も乙な味。
中でも一際…いや、本作最大の魅力を放っているのは、やはり大原麗子だろう。
正直、彼女が演じるさよは面倒臭い女だ。
昔の男に未練たらたら。
今の夫から逃げ出そうとする事しばしば。(決して暴力を振るうとか悪い夫ではない)
悲しみを売りに、薄幸の女を演じているかのよう。
言い寄る男を虜にする。
今なら間違いなく女が嫌いな女だろう。
でも、その儚げなさが堪らなく色っぽいのだ。
男ならイチコロになってしまうのも無理はない。
儚げないい女には不幸が似合うとは言わないが、大原麗子が死去した際の状況を思うと、妙なシンクロさにドキリとする。
結ばれなかった男と女。
その行く末に、熱い酒で思いに耽りたくなる。
いつも文句ばかりで喧嘩っ早い河原(伊丹十三)が印象的。居酒屋の常連客をもっといっぱい描いてほしい気もするが、メインは高倉健と大原麗子の物語。
2人は若い頃から付き合っていて肉体関係もあったのだが、お互い貧乏で結婚できず、さよ(大原)は神谷牧場の経営者(左とん平)と結婚した。しかし英治(高倉)のことが忘れられず、何度も家出する。そして、さよが原因で牧場が火事となる。そこから終盤までずっと行方不明となっていた。実はススキノのキャバレーで働いていたのだが、何度も英治に無言電話をしていた。英治がかつて働いていた造船所の社員、越智(平田満)が店で知り合い、2人は深い仲となってしまうのだ・・・
最後は孤独死。酒の飲み過ぎで食道静脈瘤で喀血していた。実際の大原麗子のことを思うと、涙が出てきてしまう。これならもっと若い頃のエピソードを入れてくれれば、感動もできたのに・・・惜しい。