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ハイ・フィデリティ Comments (6)
馬鹿最高だけど、もっと音楽馬鹿でよかったかも
もっと音楽でテンション上がりたかった
キューザック4兄弟やB・スプリングスティーン、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ティム・ロビンスなど、出演者も豪華で面白い。ジャック・ブラックの音楽オタクの原点なのかな。ラストのボーカルは最高!!
さて、この作品の場合、(特に音楽の)オタク的素養にあふれている仲間たちと、そうでない人たちのコミュニケーションのギャップが面白おかしく描かれているわけですね。例えば、音楽仲間バリーが、お客さんに対して自分の趣味に合わない曲をさんざんけなしたあげく、自分の嗜好を押しつけるシーン。ここで「あぁ、わかるわかるw」と思ってしまった方は危険です。あなたは、オタクを通り越してダメ人間側に片足を突っ込んでいます。そして、自分もそっち側の人間だったことに気づいた瞬間、単に笑えるだけの映画じゃなくなってくるのが、この作品の恐ろしいところだったり。
さらに。主人公ロブは、人間関係だったり、自分の将来に不安を持っていて、それを乗り越える努力の代わりに音楽という自分の心のよりどころに逃げようとしがち。そんな姿はまさに自分と同じなわけで、そんなダメな姿をスクリーン通して見せられちゃうと、普段はあまり感じない「焦り」という感情を強く意識せずにはいられません。自分の好きなことを仕事にするというのも、一見幸せなのかもしれなけど、だらだらと目標無く仕事を続けるロブの姿と焦りにはなんだか自分を投影しちゃいますね…。はぁぁ。
というわけで、初めて鑑賞したときは、「あ、俺も同じだ、アハハ~」と笑って済んだところが、年をとる(=ロブの年齢に近づいていく)につれて「俺も同じだ…、あ、ハハ…?」と痛くなってたりする。なんてっこたい。でも。気づけば年に1回くらいの頻度で鑑賞している自分もいたり。なんなんだろうね、この中毒性はいったい。。
音楽映画としても、コメディ映画としても、恋愛映画としても、そして人によっては自分を見つめる映画としても楽しめる(?)ので、少しでも興味に触れるキーワードがあれば是非鑑賞してみることをお勧めします。
ところで、本作は英国作家ニック・ホーンビィの原作ではロンドンが舞台だった。それを完全にアメリカ映画、それもシカゴを舞台にしたローカル映画へと置き換えてしまっているあたりが興味深い。それでも脚色チームは迷った時には原作の魂を忠実にたどることを心がけたとか。同様の流れは『2番目のキス』でも見られる。表層的には英米で大きく異なれども、核にあるものは変わらない。そこがホーンビィ作品が愛される理由なのかもしれない。
いやぁー・・・これいいねぇ・・・。
観るのはたぶん1年以上振り、4、5回目だと思うけど、今回が一番“染みた”ね。
「音楽オタクで恋愛オンチ・・・」って、かなりいいコピーだ。
物語としては、器用に生きられない音楽マニアの主人公(中古レコード店オーナー)が今カノに振られるところから始まって、その彼女とのやり取りを『過去の辛かった別れトップ5』のランカー達との思い出と絡めながら見せていく・・・という感じで。
映画の構成上面白いのは、本来ナレーションで済ませるべきところを、全部画面の中で主人公がカメラ目線で喋ること。これ、最初に観た時は「えっ!」って思ったけど、何度か観ていくうちに、この話は、確かにこのスタイルじゃないと成り立たないなって思うようになる。この冒険的な方式を採用した監督とプロデューサーはすごい。
歌の詞や映画の登場人物に自分を重ねて作品を評価するのは公正じゃあないってわかった上で敢えて書きますが。
これは、なんか、主人公の言動・思考が今の僕に通じるところがありすぎてありすぎて(まぁ、元々一般的な男なら誰でも、思い当たるところは沢山あると思うけど)。
僕がもう何ヶ月も・・・っていうかもしかしたら何年も悶え苦しんできた精神状態を、この主人公も通過して、わざとらしくない、非常になまっぽい幸せに終着するこの感じの幸せなこと幸せなこと!!
現実逃避なんだろうけど、僕も少し気が楽になった。
世の男性は「わかるわかる」言いながら楽しんでください。傑作!
(蛇足、タイトルについて:
タイトルの『High Fidelity』、所謂Hi-Fi、つまり『(音楽再生の)忠実度が高い』という意味のオーディオ用語なんだけど、『Fidelity』には『貞節』っていう意味もあって、フラフラ迷ってばかりの主人公の『高い貞節』に辿り着くまでの話、という意味も込めたダブル・ミーニングなんだと思う。ん~、深いなw)