醉いどれ天使

7.1/10
Total 17 reviews
Runtime   98分
Language   日本語
Area   日本
In Theaters   Jan,01 1948
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醉いどれ天使 Plot

戦後の混乱期。ヤミ市を舞台に飲んべえの医者と結核を患う若いやくざとの交流を描いた作品。新人・三船敏郎は痩せこけた頬にギラギラとした眼光を放ち出色の演技を見せ、この1本でスターダムにのし上がった。映像とかけ離れた音楽を配する演出手法は、この作品以降多用されている。戦後の混沌としたエネルギッシュな雰囲気が見事に描かれた本作は、黒澤=三船の黄金コンビ誕生の記念すべき作品である。

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醉いどれ天使 Comments (13)

gkjteby
gkjteby
1948年公開
終戦から3年後、まだ戦後の混乱が収まらない頃
前年には二・一ゼネスト闘争があり、本作公開の4月末の1ヶ月少し後には全学連の結成に繋がる教育復興学生決起大会が日比谷公会堂で開催されている
その社会背景を頭に入れておきたい

主人公はもちろん志村喬演じる真田医師だ
しかし本作は赤ひげのような医者を巡ってのヒューマニズムを描くものではない
本当に描くのは三船敏郎が演じるヤクザ達を通して、この混乱収まらない日本の姿だ

冒頭のタイトルバックに写され、本編で何度も登場する悪臭をかなつ泡をふきあげる泥沼
それがこの時代の日本の現状を象徴しているのだ

真田医師は泥沼に浸かって遊ぶ子供達をチフスになるぞと叱りつける
もちろん伝染病にかけて、子供達にこの戦後の混乱の泥沼の風潮に染まるなとのメッセージだ

この泥沼は無くすためには、本作4年後の「生きる」のように埋め立てて公園にでもすれば良いだろう
しかし人や社会はそれでは変わらない
人や社会の泥沼は埋め立てできないものだ

だから真田医師は、ヤクザの松永や刑務所帰りの岡田、その元情婦や登場人物全てを叱りつけて繰り返し、繰り返し追及するのだ

理性を取り戻せと
人間に一番必要なな薬は理性なんだよと

結核はその敗戦の混乱で立ち直れずにいる日本の現状を暗喩したものなのだ
だから真田医師はいつも不機嫌で怒鳴ってばかりなのだ
理性を取り戻せずいつまでも泥沼のままの現状の日本に苛立っているのだ
泥沼には今日もどんどんゴミが大量に捨てられていく一方だからだ

そうしてラストシーン
社会の泥沼に首まで浸かり、心をチフスに犯されそうだった居酒屋の女性は、そこから抜け出し道の真ん中をきれいな水が流れる田舎に帰ろうと誘っている
町の真ん中の泥沼と、道の真ん中を流れるきれいな水の対比は、これこそ本作のテーマであるとの宣言だ

そこに女子高生が、理性を持って結核と戦い、それに打ち勝って無事健康に高校を卒業したことを真田医師に報告にくるのだ
彼女は戦後の復興を象徴する新しい世代だ
彼女の笑顔が太陽の日差しの様に眩しすぎて、居酒屋の女性は彼女から目を背けてしまうほどなのだ

真田医師と女子高生は手を組んで、あんみつを食べに市場の人混みの中に消えていく

悪臭を放つ泥沼はこうして新しい世代の理性によって浄化されていくに違いない
そのような明るい希望と展望で本作は終わりを告げるのだ
だからカメラはパンしながら泥沼から市場に俯瞰して行くのだ

戦後の復興はひとりひとりの理性で心の結核に打ち勝っていかねばならないのだ

それが本作での黒澤監督の力強いメッセージなのだ
これこそが本作のテーマなのだ

三船敏郎は見事に泥沼の中に咲く徒花を演じて見せた

悪夢に登場する棺と、頬をこけたメイクは、吸血鬼ノスフェラトゥのオマージュだろう

序盤の物憂げな下手なギターの意味は何か?
戦後の焼け跡の何もかも失った日本を表現しているのかも知れない
岡田は大変上手くギターを弾いてみせる
結局、岡田が登場するとチンピラは練習を止めてしまった
そのギターは新しい情婦と遊ぶために岡田が取り上げていたのだ
下手であっても日々努力していくことが大事なのに、そんなことで戦後の復興はなるのか

それとは逆に、結核だった女子高生は気胸を毎日続けて快方に向かっているではないか
あんみつを賭けましょうかという彼女の言葉に真田医師は嬉しそうに、そして頼もしそうに見送るのだ
そのような思いが込められている様に思う

素晴らしい余韻が残る、構成と演出の巧みさが光る名作中の名作だ
vzquxl
vzquxl
脚本家目線で言うと、ちょっとおかしい部分があるので指摘してみたい。
このストーリーは酔いどれ天使が主役であるので三船敏郎が親分と始末つけに行くっていう部分はむしろあってはいけないと思う。このシーンがあるから誰が主役になるか分かんなくなってしまった。酔いどれ天使は悪ぶっていても実はいい奴で、どっかで頭下げて三船のために恥かいて頑張っているところをクライマックスにすべきだったと思う。そして苦労して治療のための何かを手に入れて帰ってきたら三船が焼け起こして死んでいたと・・・というかっこにすれば主役が散らばらずに良かったと思う。
この映画の後、「野良犬」で黒澤明は三船敏郎を使ったアクション映画監督へと生まれ変わって行くのであるが、この映画の頃はまだ、それまでの人情もの監督の部分を強く引きずっている。それセンチな人情もの的情緒とアクション要素とが上手く融合せず中途半端になってしまったように感じた。
この映画のラストショットではカメラが酔いどれ天使を見送った後、何と後ろへ下がって行く。普通カメラはそこに固定して主人公が遠くの方へ去っていくところを見送る者であるが、カメラが後ろへ下がっていくとはどういうことだろう?私にはそれが黒澤明の人情もの映画への決別を示しているように感じた。
「私はこの三船敏郎という素晴らしい俳優を手に入れた。これからはアクションもの監督に生まれ変わるのだ。人情もの監督黒澤明よさようなら・・・」
と。
szcvzl
szcvzl
何度見ても三船敏郎さん志村喬さんはかっこいい。
DVDで見た時よりも、ずっと聞き取りやすく画面も見やすかった。
チンピラの三船さんがさらにっかっこいい。
Smsosspohn
Smsosspohn
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第22回キネマ旬報ベスト・テン第1位。

Blu-rayで鑑賞。

黒澤明監督と三船敏郎が初タッグを組んだ記念すべき作品。酒好きの医者と結核に冒されたやぐざ者の交流を通して、監督が理想とするヒューマニズムを体現していました。
後に本作で描かれたテーマが「生きる」で拡大され、「赤ひげ」で集大成を迎えるんだなぁ、と思うとなんだかとても感慨深かったです。三部作と呼んでもおかしくない。

松永が返り討ちにあって刺されたとき、ベランダへ続くドアを開け放った瞬間、まるで空へ飛び立ったように見えました。白いペンキ塗れになっていたこともあって、天使になったのかなと思いました。タイトルはダブルミーニング?
slunia
slunia
・何とかしてあげられたんじゃないかという場面がいくつもあって、それを積み重ねた結果がこうで悔しい
・やるせない気持ちでいたら、最後がよかったー