This site is a comprehensive movie website about movie posters, trailers, film reviews, news, reviews. We provide the latest and best movies and online film reviews, business cooperation or suggestions, please email us. (Copyright © 2017 - 2020 920MI)。EMAIL
カティンの森 Comments (12)
第2次世界大戦中
作品タイトル『カティンの森』で起きた
ポーランド人大量虐殺の実話を描いた作品。
それだけ知った上で、上映開始を待ちました。
☆彡 ☆彡
やばいです
なんですかこの作品は
ことばがでてこないんですけど・・・
放心状態で、しばらく席を立てませんでした。
呼吸を整え、パンフレットを購入したのですが、
作品の脚本がパンフレットの中に書かれていたんです(こんなのはじめて)。
セリフを読むと、シーンが甦ってきます。この作品の記憶が消えることはないでしょう。
ネタバレをなるべくしないように、
作品の一部と歴史背景を抜粋するようにします。
◇ ◇
『カティンの森』大量虐殺
当時、
ポーランドは、
ナチスドイツとスターリン率いるソ連の
戦地になり、ドイツとソ連で領土を分割しあうなど、
ポーランド領内で鍔迫り合いを繰り返していました。朝鮮戦争時の
韓国と北朝鮮を想像していただくと、わかりやすいかもしれません。
事件発生は1940年4月。
スターリンの命令により、
ソ連は収容所に収監していた
ポーランド将校1万人以上を殺戮(銃殺)
その背景には、
①第2次世界大戦勃発前に、
ソ連はポーランドと戦火を交え、
ソ連は、そのときポーランドに破れた。
そこからくる“怨み”
②第2次世界大戦終了後。
仮に勝利を収めたとしても、
①の背景から、ポーランド単独で
ソ連に反旗を翻す可能性が高い。
だから、その芽を事前に摘んでしまう
ソ連の思惑通り、戦争には勝利を収める。
しかし、ソ連は、『カティンの森』大量虐殺を
ナチスドイツの仕業と捏造。諸外国にも喧伝し、
ポーランド国内においても、わざわざ嘘の映画を作り
公園など街頭で、ナチスが犯した罪だと、大スピーカーで流す。
つまり、ポーランドは
国際的には、ポーランドという国名は残ったものの、
実質は、ソ連。戦争が終わっても自由がないのは変わらない。
履歴書に「父は1940年、ソ連によりカティンの森にて殺された」
提出すると、ソ連をドイツに訂正するように求められ拒否をすると、反逆分子として収容。
墓碑に「1940年、ソ連によりカティンの森にて殺される」
教会では受け入れを断られ、家族墓に立てるも、同文部分のみ破壊される。
そして、墓碑を立てようとした当人も、反逆分子として収容。
この事実を認め、ソ連が謝罪し、
自由に表現できるようになったのが1990年。
事件発生から50年後ですから、なんと半世紀にも及びます。
その長きに渡って、なんの自由もないなんて
“恐怖”“不気味”“おぞましさ”明るい言葉がなにも出てきません。
◇ ◇
アンジェイ・ワイダ監督は、
実際に父を、同虐殺で失い、同作を製作したそうです。
出演者の中にも、同虐殺で、親戚を失ったかたがいらっしゃいます。
①虐殺された将校でなく、
その将校たちを待つ妻なり娘なり、家族の視点で描く
②『カティンの森』大量虐殺のすべてを、自分が描くのでなく、
今後、若い世代が、同虐殺について、製作をするキッカケになりたい
この2点に気を使われたそうです。
ラスト、
真っ暗なスクリーンに流れる
“ポーランド・レクイエム”
無音のエンドロール。
口元を両手で覆ったまま、固まってしまうのでした。
☆彡 ☆彡
色々な戦争に関る映画を観て来ましたが、
まさか、こんな事件があったとは、今作を観るまで知りませんでした。
きっと、世界には、
まだまだ私たちが知らない事件が隠されているのでしょう。
そんな事件は“ない”と信じたいのですが・・・。
アンジェイ・ワイダ監督、
魂こもる渾身の一作を、是非ご堪能あれ。
ソ連による、1万人以上のポーランド将校の大量虐殺を、残された遺品や日記からその真実に迫っていくことになる遺族たちの視点で描く。戦中、戦後を問わず、ポーランド国民が、大国のプロパガンダから自由ではあり得なかったこと、その状況下でもなお、民族としての自由を追求して止まない人々がいたことも同時に描かれている。
20世紀の戦争に、他の時代とは異なる特有の狂気があるとすれば、ラストの、将校たちが一名ずつ射殺されて、大きな墓穴に大量に放り込まれていくシーンに象徴されるだろう。はじめは、一名ずつ密室で殺害し、遺体を墓穴まで運ぶのだが、この「作業」が果てしないと気づくや、ソ連軍は、ポーランド将校に目隠しをして直接墓穴の前まで歩かせて、そこで射殺する方法へと変更するのだ。最後には、目隠しもなく、銃声を抑える措置もとらなくなり、順番を待つ将校たちは自分たちの運命を知ることになる。殺人の効率化という狂気が、ここには描かれている。
捕虜収容所内での俯瞰のショットを、クレーンでカメラを持ち上げて撮影しているシーンが、彼らの息も詰まりそうな不穏な運命を暗示している。事件を知る観客は、目を背けたくなるようなラストが予見できるのだが、人物のクロースアップ、クレーンを使用したショットなど、魅力的で多彩な映像表現で、最後まで一気に観させてしまう。告発する以上に、歴史上の事件に耳目を集めることの方が難しい今の時代への挑戦が成功している。ワイダ監督の手腕であろう。
総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:85点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
残虐に大量殺戮された将校とその家族を描くこの作品は、決して観て楽しめるといった類の映画ではない。だが歴史的に有名なこの事件を伝えたいという強い思いが感じ取れる。二つの大国に挟まれて、その勝手な思惑のままに蹂躙された小国の苦悶の叫びが、事件から数十年を経て地底から響いてくるようだ。
また常に張りつめた冷ややかな空気と恐怖感がある演出力は相当なもので、当時の社会と家族の感じた重々しさが肌にまとわりつく。物語は虐殺を正面から描くのではなくて残された市井の家族のほうから始まるという異色作である。抵抗するまもなく短期間に一方的に殺された将校を作品の中で長い時間をかけて追いかけ続けるよりも、真実を知るまでの家族の長い生活と政治的弾圧と嘘を描いて徐々に全貌を解明していくというのは構成として悪くない。緊迫感の下で静かに進む物語が一気に動く最後も衝撃。ただし虐殺の政治的背景についてはもう少し説明してほしかった。